意思決定の道

意思決定の道筋
1.脳の働きをシステム1とシステム2に分ける。S1は直観、S2は熟慮を示す。S1とS2の相互作用で意思決定がされる。事故死は病死よりも報道される機会が多いから、リスクの見積もりが高くなるが、病死は事 故死の20倍だ。人はしばしば身近な事例に引かれてS1で結論することが多い。

2.思い込みに捉われて判断する事を認知的バイアスと呼ぶ。脳の重さは体重の2%だが基礎代謝の20%も消費する。だから、S1で問題を処理して、S2の負荷を軽減しようとする。原発とかTPPなど本来S2で処理すべき事を、身近な事例から票稼ぎでS1で決めてしまう。国民性の問題もある。

3.S1ファストは、支配的で、攻撃的で、慌ただしくて、直観的で、表面的で、こらえ性がなく、能動的な態度で、質よりも量を重んじることだ。S2スローとはその逆で、ゆるやかで、物事に注意を払い、熟慮 的で、静穏で、辛抱強く、思慮深い態度があり、量よりも質を重んじることだ。国のエネルギー政策など極めて重要な政策は、本来S2で慎重に決めるべきことだ。

*Thinking, Fast and Slow  by Daniel Kahneman