エストニア

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エストニアに対するロシアの干渉
 日本ではあまりお馴染みのないバルト三国であるが、バルト海沿岸に北からエストニアラトビアリトアニアの三つの国をいう。ソ連解体後、独立したがエストニアは海峡を隔ててフィンランドに近く、民族的にも同族であるからこの三国の中でも特に独立意識が高い。エストニア政府は先月末、第二次大戦でのソ連軍の戦勝記念銅像を首都タリンの中心部から郊外に移した。これに対してロシアは「戦死者に対する冒涜だ」などと反発し、政財界の有力者がエストニア製品のボイコットや経済制裁を呼びかけて、両国関係は急激に悪化している。

バルト三国

 ロシアでは、旧ソ連が占領支配した歴史には触れずに、バルト諸国や東欧をナチスドイツから解放したとの戦勝国歴史観に立っている。特にプーチン政権になってから、歴史教育への干渉が高まり、戦勝国の美点を強調する風潮になっている。

 江沢民政権が中国で行った愛国教育とまさに軌を等しくするものである。どこの国でも自国に都合の悪い歴史からは目を背ける傾向にある。これは日本でも同じと言えよう。しかしながら、一方的に相手国に自国に都合のよい歴史解釈を押し付けるだけでは何も解決しない。

 北方領土について、プーチン大統領は「第二次大戦の結果であって、帰属については議論の余地はない」、つまり返還しないと明言している。6月初旬にドイツのハイリゲンダムで行われるサミットでは日露首脳会談が予定されているが、安倍首相には明確にプーチン大統領に日本からのメッセージを伝えてもらいたい。

 蛇足ではあるが、エストニアの政府機関や銀行のコンピューター・ネットワークが約3週間にわたってロシアからの猛烈なサイバー攻撃を受けている。一部の発信元がクレムリンやロシア政府のコンピューターであるとして、NATOも調査に乗り出している。ロシアは国としての関与を否定しているものの、改めてサイバー戦争の到来を思わせる出来事である。

なお、スエーデンから両陛下は本日エストニアを訪問する。
杉原千畝氏(リトアニア