虐殺と北京五輪

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ダルフールの虐殺と北京五輪
 アフリカのスーダンには中国が10年前から金も人も注ぎ込んで、経済開発援助をしてきた目的は原油の輸入である。スーダン共和国北アフリカに位置するアフリカ大陸最大の面積をもつ国で、首都はハルツームにある。1956年の独立以来、イスラムキリスト教徒の間での内戦が絶えず、1983年に勃発した北部のイスラム系と南部のキリスト系との内戦は10年にも及んだ。現在は、西部のダルフール地方3州でも2003年以降アラブ人イスラム系と非アラブ人キリスト系の紛争が激化し、2004年アフリカ連合が監視要員の派遣を決定した。

Sudan


 スーダン政府はダルフール地方キリスト教徒の弾圧を強めていることに対して、ブッシュ大統領スーダン政府に対して経済制裁を強化して締め付けている。いくら米国が中心となって国際的な制裁を強めても、スーダン政府はものともしていない。何故ならば、中国は国連安保理によるスーダン制裁を阻んできたし、相変わらず経済援助を継続している。
 
 このような動きの中で、来年8月に中国が国威をかけた史上最大のイベントである北京五輪開催が迫ってきた。既にフランスのサルコジ大統領は虐殺黙認の中国に対して、五輪ボイコットも辞せずとコメントしている。6月25日にパリで会議を開催するという。またこの五輪の開会式と閉会式の芸術顧問を務める米国のスピルバーグ監督は中国の国家主席に書簡を送り、対スーダン政策の改善を求めた。その後、スーダン政府は国連平和維持活動舞台の受け入れを認めたので、効果は認められている。ハリウッドではこの他、大量虐殺を支援する中国の五輪のボイコット運動も起こり始めている。

 1980年のモスクワ五輪の二の舞は避けたい中国ののど仏に刺さった棘である。スーダン政府の虐殺を資金的に支援しながら、国際社会の地位を確保するふりをいつまでも続けていくことはできない。あと1年の間に、このままの姿勢を中国がとり続けるならば、予想される最悪の事態はいくつかの西欧諸国から北京五輪のボイコットが起こる可能性がある。その時、この問題では沈黙を守る日本政府はどのような態度をとるのであろうか。