東京大気汚染訴訟

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東京大気汚染訴訟
 自動車の排気ガス健康被害を受けたとして、都内のぜんそく患者(633人)が国、都及び自動車会社などに対して損害賠償を求めた裁判で、東京高裁の和解案に沿って、全当事者が和解に合意したことで、提訴から11年に及んだ訴訟は全面決着した。ここでは細かい和解案について述べるつもりはなく、この訴訟が今後に及ぼす影響について考えたい。

 工場からの煙や車の出す排ガスは経済発展のシンボルとして考えられた時期もあったが、地域住民への深刻な健康被害が続発するに及んで、きれいな空気を取り戻す運動へと変化していった。日本ではいまや工場から排出する煙を無害化する技術については世界の最先端を行っているし、車についても、各自動車メーカーは厳しい規制をクリアする環境対策を講じてきた。それでも、健康被害が出ることを今度の訴訟では証明したことになる。

 本年度、トヨタ自動車が実質的にGM を抜いて世界一の会社になるし、国内だけでの生産台数は1150万台で、世界の各地で生産されている日本の会社か関係している自動車の生産台数は年間2500万台にも達している。世界一の自動車製造大国として、これから日本は排気ガスの浄化責任を問われていくことになる。

 この東京大気汚染訴訟で排気ガスの有毒性が証明されたのだから、今後いつ何時、世界のどこかの街で、同じような訴訟を起こされる可能性が出て来るかわからない。自動車会社はこのために、これまで以上の排気ガスへの対策技術を開発していかなければならない。世界一になったら、責任は重く、環境に対するより厳しいグローバルスタンダードを構築する義務が課されている。