欧米とロシア

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欧米とロシアとの関係
 ロシアは米欧と対決姿勢を示すことでその存在感を国際的に認知させようとしているようにも見えるし、大統領任期の迫ったプーチン氏が国内での威信を保持するために、対外的には強硬姿勢を示しているようにも思われる。
 
 欧州各国が配備する通常兵器の上限を定めた欧州通常戦力条約の履行をロシアが停止したのは、米国のミサイル防衛東欧配備計画(MD)への対抗措置である。6月のドイツでのサミット終了後、間もなくしてプーチン氏はメイン州ブッシュ大統領の別荘に招かれて、何事かを会談しているが外には何も洩れては来ていない。

 冷戦時代の米ソ対立関係時には、お互いに強大な兵器産業をそれぞれ国内に抱えていたし、現在もそこからの多大な献金で両政権は維持されていると思われる。米国のMD(Missile Defense)計画もそれに対抗するロシアの措置も、このような背景を考えると理解できるようだ。

 バルカン半島コソボ独立問題、イランの核兵器問題、中東の平和問題などいかにも、冷戦時代の復活を思わせる事態が生じていて、新冷戦時代などとの論調も出されているが、いまさら米ソ対立の時代へ戻るようなことは両首脳とも考えてはいない。お互いにそれぞれの兵器産業を維持していくために、少なくとも表面的には対立関係を温存しておかなければならない。そこのところであうんの呼吸が一致している。

 米露関係はお互いの利益に合致するところで手を結んでいるようだが、英国が元ロシアのスパイ毒殺事件でロシアの外交官を追放したことによる英露関係が外交官追放などと険悪化の方に向かい問題を含んでいる。冷戦時代にも英露のスパイ合戦は小説や映画になっているように、お互いに火花を散らしていたが、今回の問題では落とし所は難しい。プーチン大統領は英国が「ロシア憲法を改正してでも容疑者を引き渡すべきだ」と主張したとして、「変更すべきはロシア憲法ではなく英国の考え方だ」と述べ、英国を激しく非難している。