民主主義の定着

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民主主義の定着 民意というもの
 2年前の衆議院郵政選挙と今回の参議院年金選挙に共通することは、前回は自民党の圧勝、今回は民主党の圧勝ということで、振り子が左の端から右の端まで一挙の振れたことである。一見したところ国民の総意が時の問題に敏感に反応したように受け取れて、民主主義が定着してアメリカ型の2大政党制へ向かう始まりのように考えられる。
 
 しかしながら、わずか2年間で日本国民の総意が簡単に大変化をしてしまうということには違和感を覚えてしまう。今春に行われたフランスの大統領選挙では、男女二人の対立候補の政策には明確な相違点が見られていたが、投票結果に表れている仏国の民意は、かなり拮抗するものであった。また、米国の前回大統領選挙でも、ブッシュ大統領民主党のゴア氏の投票結果は、最終的にはブッシュ氏が座を獲得したが、その差は僅差というものであった。投票率は両者とも75%近傍であった。

 独裁国や独裁的な国家では、投票率も100パーセントに近く、その結果は一方的なものである。これが民主主義思想がほとんどない国の政治体制である。投票率も比較的高く、その結果が接戦となるのが仏国と米国の大統領選挙に表れているように、民主主義がほぼ定着している国と見ることができる。

 わが国では投票率も先進国よりもかなり低く、しかも有権者過半数が浮動票といわれるもので、このどちらつかずの人々を何らかの手段で引き付けた方に票が流れていくこととなる。それだけ時代のムードや漫画的な劇場を作り、浮動票層の心をつかむことに選挙参謀は心を配る。

 また、ここでの選挙運動といえば、名前の連呼、手振り、頭下げ、握手、土下座など政策論議よりも、直接に有権者の感情に訴えることが主体となる。そして東京では住民登録をしていないから自分への1票を投ずることもできないような元女子アナが信じられないことだが、当選するようなこともまで起きている。明治維新以来、いまだ140年、民主憲法ができてから60年、まだまだ真の意味での民主主義が定着していくには時間がかかるようだ。