映画TOKKO

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映画TOKKO
 あれから62年の歳月が経過して、戦前生まれの日本人は6人に1人となった。1954年生まれの総理大臣も戦争を知らない世代である。戦争体験のない世代ではあの戦争を茶化したり、美化したりする風潮があることを危惧している。アメリカでは以前にはナチスドイツを描いた映画がたくさん製作されたが、いまは日本との太平洋戦争を描いた作品がいろいろと出てきている。正直なところ、管理人はこれらの作品をあまり見たいとは思わない。見たところで何か新たな創造的意欲が出てくるとは思えないからである。
 
 日本史でも世界史でも、教科書に記述されている内容は勝者の歴史であることが多い。何故ならば、敗者は記録を残したくはないので、どうしても後世に残る記録は勝者側からのものが中心となる。そうすると戦争のさまざまな側面で、本当の姿が隠されてしまい、誤解されているテーマが多いことに気がつく。

 そのような誤解を解く作品がアメリカで作られていることには興味がある。「ヒロシマナガサキ」に続いて、この作品も米国でのものであるが、日本の特攻隊についてどのようにアメリカ人が捉えていたかについて知ることができる。

 米国ではカミカゼ特攻隊について、近年の自爆テロリストに通じる狂信者の集団と見ている。また日本では自分の命を捧げた戦争の犠牲者として美化する傾向がある。はたしてその真実の姿はどうなのか。日系アメリカ人女性の日本でのインタビューや特攻隊に攻撃された艦隊の生存者にも会見は及んでいく。

 特攻隊の生存者たちは、ただ命令に従っただけで誇るべきことではなく、正直言ってみな死にたくなかったということが率直に語られている。偽装という言葉が最近、日本の社会で問題化して来ているが、このルーツは実は、日本国が戦争中に国民に日本は不敗であるとの神話として植えつけたことにあることが分かる。