金融危機

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神話を砕く サブプライムローン
 「投資家が自ら決定した投資の結果を保護するのはFRBの責務ではない」とバーナキン議長の発言が注目されている。これは、前議長であったグリーンスパン氏への決別宣言とも受けとめることができる。前議長はウォール街出身の経済アナリストで、企業経験も豊かであり、市場に混乱が生じると、すぐに政策金利であるFF金利を引き下げてショックを吸収してきた。その巧みな金融政策でマエストロ巨匠とか呼ばれて、グリーンスパン神話を作ってきた。
 
 今回のサブプライムローン問題でFRBFF金利を放置して、公定歩合の引き下げだけを実施した。これに対してバーナキン議長の手腕を疑問視する声も出ているが、コロンビア大学教授から就任した学者議長は、いざとなったらFRBが何とかしてくれるであろうという投資家の期待を外した。前議長の政策が投資家のモラルハザード倫理欠如を招いてきたことに対する批判とも考えられている。

 そもそも問題となった低所得者向け住宅融資は、02年から3年間、前議長が2--をきる低金利を続けたことで、資金が市場にだぶつき、住宅価格が大幅に上昇したことで、所得が低い人でも、価格上昇を見込んで住宅が購入しやすくなりサブプライムローンの利用者が急増したものである。前議長は当初は低金利で後で跳ね上がる変動型金利は消費者に利益となるとも語っていた。さらに、金融機関では手数料稼ぎのために、無審査で融資することなど、日本のバブル期と同じようなことが起きていた。

 政府の借り手保護対策も出されたが、これはFRBに歩調に合わせるもので、投資家保護は政府の仕事ではないと大統領も述べている。果たしてこれですべてうまくいくのかどうかまだ分からないが、もう一段、深刻な金融危機がきたら、FF金利下げという奥の手が残されているのも確かである。

 FF金利は銀行が相互に貸し借りをする際の金利であり、日銀では無担保コール翌日物金利といっているものと同じで、返済能力に疑問を持てれている金融機関は上乗せ金利を払わなければ借りられない。FF金利の引き下げは、健全な金融機関には効果がある。
公定歩合FRBが民間金融機関に貸し出すときの金利で、通常FF金利よりも高いが、国債などの担保証券を見せれば、どんな銀行でも借りられる。市場での資金調達に苦しむ金融機関の頼みの綱である。