官房長官

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官房長官と首相
改造内閣のかじ取り役の与謝野馨官房長官は、消費税率引き上げによる積極的な財政再建論者で、靖国神社問題ではA級戦犯分祀を主張するなど、お友達内閣の象徴だった塩崎長官が、首相と共同歩調を取ったのとは対照的に、首相の政策や立場と一線を画してきた。。与謝野氏が与党や霞が関との調整で主導権を握ると、政権の路線に変化が生じる可能性もある。政権の行方を左右するキーマンになりそうだ。それでは安倍首相の存在理由がなくなってしまう。


 閣僚名簿を発表した与謝野氏は、記者会見室で弱々しい声で話し始めた。がんの手術による入院から復帰したばかりで、官邸職員が慌ててマイクの音量を上げた。健康問題を問われると、もう69歳で、病気をしなくても加齢によって、体の部品が傷んでいると思うが、十分療養を重ねたので職に耐えられると確信している、と答えたが政治家にとって健康問題は最大の弱点ともなりうる。

 小泉--竹中氏の成長路線を受け継ぐ首相との最大の違いは、経済財政政策で、与謝野氏は財政再建路線を取ることであり、首相の新経済成長戦略路線をけん制している。消費税率上げについても、首相は「上げなくてすむ状況に持っていきたい」と慎重だが、与謝野氏は社会保障制度を維持するには、消費税を含めた税制の抜本改革を主張している。参院選惨敗で増税論議は遠のいたようであるが、、財務省は与謝野長官の誕生に意気上がる。財務省だけでなく、霞が関はこぞって与謝野長官を歓迎しているように見えるのは、官僚を大切にする体質を持っているからである。

 これほどまでも、お友達を排してしまった内閣では、わずか1年ですべて安倍路線が崩壊してしまったともいえる。これでは首相の指導性を発揮するのは容易ではない。結局何をするために首相の座を維持しているのかのメッセージが消えてしまった。ただ、首相の椅子に座っていることに満足しているとしか思えない。