政策論議

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空虚な政策論議
 次期首相候補の二人の論戦を見たが、政策論議らしきものはひとつも見当たらず、すでに福田氏に大勢は決まっているので、まるで気の抜けたビールかプロ野球の消化試合みたいだった。これでは病床の現首相は涙を流して、俺がもっと頑張ればよかったと切歯扼腕しているに違いない。これまでの改革には光と影があって、影の部分を修正していくというが、改革の光の部分が何であるか見えてこない。小泉改革以来、負の部分ばかりが出てきて、それで参議院選挙で自民党は敗北したのではないか。どのような改革の成果があったのかもっと分かりやすいかたちで説明すべきである。改革で平成不況を脱して経済が成長して来ているというが、民間企業はつぶれたら困るから政策とは関係なしに自助努力をしてきているだけである。
 
 むしろ影はこれからもっと大きくなる恐れが指摘されている。10月1日から郵政民営化がスタートするが、地方の特定郵便局では後継者難でその存続すら危ないところがある。さらに、採算が取れないところは閉鎖に追い込まれる恐れもある。資金力に物を言わせて融資業務を拡大していくと、地銀、信金信用組合などの民間企業は太刀打ちできなくなる。教育改革でも、中間管理職を増やしたり、免許更新制度の導入で、現場での教師の負担が大きくなり、教育に割く時間の減少が心配されている。

 テロ特別措置法などの法案審議でも、これまで散々、野党との審議すらあまり行わずに、強行採決憲法関連、教育関連、社会保険庁関連などの法案を通してきたことを忘れて、こんどは民主党ともよく話し合って進めて行きたいという。自民党のこんな勝手な論法が通るわけがない。新内閣はすばやく衆議院を解散して、再び選挙で足元を確立してから、いろいろな政策論議をすべきである。空白は許されないというが、独裁国家ならいざ知らず、そもそも民主主義は時間も金もかかるものだと思う。