唾棄すべき言説

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唾棄--だき--すべき言説 不穏な世界状勢
 永田町の交代劇に見とれているうちに、世界ではさまざまな動きがあり、ただ日本だけが蚊帳の外におかれているような気がしている。紛争のネタは中近東から南アジアで、これに絡まる欧米の先進国の動向である。フランスではシラク大統領時代に、反米政策をとってきたが、これがもとで欧州でも急激に指導力をを失ってしまった。新大統領サルコジ氏の時代となって、夏休みは米国のニューイングランド地方で過ごすほどの熱の入れ方で、親米政策に転じた。この流れでフランスの外相がイランの核開発に対して、武器行使も辞さずなどと言うものだから、米国からはまあ慌てるなと釘をさされたりしている。


 国連本部がNYにあるので、加盟国の要人は誰でもNYを訪問することができるが、イランの大統領がNYに行ったついでに、のコロンビア大学から招聘されて講演したことには、あらためて米国の懐の深さに感銘する。これには批判もあったが、大学の学長は「世界の現実を理解しようとすれば、時には唾棄すべき言説に触れることも避けられない」などと述べて、大統領に講演をさせている。

 学長は大統領を「あなたは狭量な独裁者のあらゆる兆候を見せている」と紹介して、人権侵害の否定、ユダヤ人大虐殺の否定、イスラエル抹消発言、核開発疑惑など大統領の問題発言を指摘した。国連総会での演説で、大統領は核爆弾を必要とはしていない、核開発はすべてIAEAの監視下に置かれていることを強調して、エネルギー確保など平和目的であることを強調した。

 イランと同調するシリアに、北朝鮮から核開発のデータが供給されていることが米国の反ブッシュ陣営から暴露されて、今日27日から北京で開催される6カ国協議に影を落としている。米国ではブッシュ大統領とライス国務長官が進める北朝鮮への宥和政策に反対する動きが強まってきている。特に、ライス長官が日本の拉致問題を置き去りにして、テロ支援国指定解除もありうると示唆しているからである。日本の新内閣は拉致を話し合いで解決するなどと呑気な事を言っているが、いつの間にか拉致は雲のかなたへとなることを恐れる。

 法外なガソリン代の値上げに端を発したことが、軍政の対応のまずさから、僧侶指導の大胆な政治変革要求デモへと転換してしまった。日本政府は欧米諸国の反対に目をつぶり、ミャンマーの軍事政権に手を貸してきたのだから、この責任は重い。ちょうど開催されている国連総会で、荷は重いが、この問題の解決に日本は指導的な役割を果たさなければならない。