紙かネットか

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紙かネットか
 アメリカではNYタイムズをはじめ、大手の新聞はすでに、ネットを優先して記事を配信し始めている。日本の全国紙の存在や販売店の組織など、日本との違いがあるので、いちがいに米国が進んでいるともいえない。しかしながら、日本でも若い家庭を中心として新聞を月極めで購読する家庭が減少し始めているのも事実である。
 
 アメリカの新聞はNYタイムズなど、日曜版はどっさりと、大きな百科事典くらいの分量があり、その殆どが広告である。平日のNYタイムズでも7割は広告となっている。日本の新聞も広告が増えてきているが3--4割程度である。日本では全国に各社の販売店網が張り巡らされている。新聞の価格の半分は販売経費に取られている。要するにアメリカの新聞は広告で成り立っているから、ネット化が容易である。

 日本では依然として3大新聞では、紙を優先と考えているが、産経新聞がトップを切って、紙とネットの間にある高く厚い壁を破壊しはじめた。産経新聞のWeb版「Sankei Web」をMSNに統合したニュースサイト「MSN産経ニュース」が10月1日にオープンする。これに先駆けて産経新聞は、国内新聞社で初めて、紙とWebの編集部隊を統合した。「ウェブ・ファースト」をスローガンとして掲げ、スクープ記事も新聞発行を待たずに掲載するなど、ニュースを出し惜しみしない構成にしていくという。紙とWebを切り分ける意識から脱し、Web時代の新しい報道機関の姿を模索する姿勢を打ち出した。読者のニュースへの接し方が変わってきている。もはや紙かネットかの択一ではない。ネット時代の報道機関としての使命を果たしていきたいと社長が述べている。

 MSN産経ニュースは、マイクロソフトMSと産経新聞産経新聞の戦略子会社である産経デジタルが共同で運営するサイトだ。出し惜しみは極力しない方針で、これまで紙への掲載が優先されてきたスクープ記事や目玉連載、解説記事なども掲載することで、情報の早さだけでなく、質の高さも重視する方針という。

 MS社との連携で、どのようなビジネスモデルで仕事の成果と収益を上げていくのか、国内の新聞としては新たな挑戦が開始された。他紙の動きとしては、朝日、日経、読売が販売店の統合を進めていて、頭文字をとってANYというが、ここにグーグルをバックにつけて、共同ポータルサイトを開設するようである。ようやく、日本の新聞社も紙からネットへの動きが出てきているが、販売店の統合も含めて収益を上げるための新たなビジネスモデルが要求されている。