哀れな経済大国

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哀れな経済大国
1980年代の高度成長期の末期の日本では、一億総中流意識というばら色の調査データが公表されていた。それから僅か20年足らずで、ワーキングプアネットカフェ難民、中高年の自殺者、尊属殺人などが増加してきて前途に黒雲が立ち込めてしまった。それでも、国民総生産は米国についで世界第2位の地位にある。

その米国も格差を表すジニ係数が0.5に近づきつつあり、日本の係数も上昇してきている。要するに、現在の状況は富の偏在と格差の拡大ということで表されてしまう。「企業収益5年連続増加」,「民間給与9年連続減少」,「年収200万円以下、1000万人超える」など最近のニュースであるが、儲ける企業と減給のサラリーマンという構図になっている。


 国際競争に勝つには賃上げはできない、非正規社員の増加、団塊世代の退職がその主な原因という。もう一つ重要なことは、小泉改革の成果である海外資本を呼び込んだことで、企業は株主重視を打ちださざるおえなくなり、株式配当が倍増していることである。数々の規制緩和で外国人投資家の株保有が高まり、配当を増やさないと買収を仕掛けるみたいな脅しで、経営者は企業防衛と自己保身に汲々として、従業員の待遇改善は二の次となっている。

 いざなぎ景気超えといわれて久しいが、大企業でも給料の伸びは僅かで、中小の零細企業ではボーナスとか退職金すらなくなりつつあるという経済大国なのである。この上に原油価格、パンや油など日常生活品が上昇し始めている。これではますます個人消費は伸びないし、頼みの政府発表のいざなぎ景気超えすら危なくなってくる。経済大国が経済頽国にならないように何とかしなければならない。