本年度ノーベル賞

本年度ノーベル賞の特徴
 本年度のノーベル各章の受賞者が出揃った。生理医学では遺伝子欠損マウスの開発で米国から2名と英国から1名、物理ではハードディスクの容量向上の原理を追求した内容で仏国1名と独国1名、化学では固体表面反応で排ガスの触媒への応用に貢献した成果で独国1名となり、自然科学分野では米国2名、独国2名、英国1名、仏国1名となった。相変わらず米英独仏からの受賞となった。
 
 文学賞は文明の対立をテーマとした英国の女性作家、平和賞は環境問題を取り上げた米国の元副大統領と国連のIPPCとなり、いずれも、現在の世界で問題となっている課題に挑戦した内容が受賞の対象となっている。経済学賞は意思決定理論に関するもので米国から3名となった。

 こうして全体を見ると、自然科学では基礎的原理が如何にして人類社会に貢献しているかという内容であり、文学賞と平和賞では現代社会の病根ともいえる問題に果敢に挑戦したテーマが選ばれていることが分かる。平和賞ではこれまでの国際紛争解決などではなくて地球温暖化対策への貢献がテーマとされた。

 特に、文学賞では、ここのところ単なる文学作品というよりは、明確な課題に裏打ちされた文学的主張が前面に出されているものが授賞対象になっていることがわかる。今年の受賞者であるドリス・レッシング氏は人種問題、難民支援、核兵器廃絶などをテーマとして描いた作品が多く、また昨年度はトルコの作家パムク氏でアルメニア人虐殺を認めた作品であった。ただ、何となく文学作品を生み出しても受賞作にはなりにくいのかもしれない。
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