党内民主

党内民主
 総書記の「同意する方は挙手を」との掛け声で、出席者2235人の手が一斉に挙がる光景を見たとしたら背筋に寒気が走ることであろう。第17回共産党大会の最終日に、今後5年間の政治路線を示した報告などへの賛否を問う決議案が採決された瞬間である。次に「不同意の方は挙手を」との呼びかけには会場は沈黙したというが、この沈黙の意味はいろいろとあると思う。これが、中国共産党の言う党内民主の根幹である。
 
 毛沢東時代の個人崇拝と独裁から離れて、集団で意思決定を確認する方法は確かに「個人、少数の独断専行に反対してこれを防ぐ」ことかもしれないが、このことを民主的と称しているのなら、いささか価値観の違いを認識しないわけにはいかない。党内民主というのは共産党の永続を図るための方法論であり、民主的な政党運営とは全く別物のようだ。

 党内民主は中国全体の民主化にはつながらないことは当然だ。北京の知識人の中には、このまま政治改革をしないと、民衆の間でさまざまな不満が蓄積して、やがては天安門事件を上回る民主化運動がおこる可能性を指摘している向きもあるが、表面には絶対に出てこない。
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