消された年金

年金記録問題検証委員会報告
 総務省から今頃になって報告書が出てきた。これによると政府が約束した来年3月までの不明年金5000万件の名寄せは絶望的になっている。5000万件から7840件をサンプリングして調査したところ、その38.5--のものが該当者の特定困難と出されている。厚生労働大臣は「これで名寄せ作業が大変になるという印象ではない」というが、「名寄せが9割以上進めば失敗という評価にはならない」と早くも予防線を張って、煙幕で包もうとしている。

もっと問題なのは、住民基本台帳と照合した結果、33.6%は生存の可能性が高いことが判明した人の記録だったことだ。5000万件の3分の1の人は生存しているのに、年金をもらえていないか、少ない年金しか貰っていない可能性があることである。社会保険庁ではこの5000万件のほとんどは死亡者や年金保険脱退者と説明していたはずだ。この人達への未払い額がどれくらいになるのかは明らかにしていない。

 報告書では歴代社会保保険庁長官の責任に言及しているが、個人名すら明らかにしないのでは、責任追及すらできない。大臣はこの報告がでたので、自身の給与を2ヶ月分だけ2割カットなどと処分を発表して、この程度でお茶を濁そうという魂胆だ。こんなことには今や誰も騙されない。

首相まで「政府の方針を着実に進めていくことが大事で、それが責任の取り方だ」とまるで他人事だ。少なくとも歴代長官を国会に呼んで喚問するくらいのことはするべきである。そして未だに高給でどこかの財団の理事長などをしているのなら、税金から給与が支払われているのだから、その金は年金救済へ回してもらおう。
http://iiaoki.jugem.jp/