10年サイクル

10年サイクル
 ちょうど10年前のアジア通貨危機は東南アジアや韓国の経済に大きな打撃を与えたし、日本でも山一証券やいくつかの大手銀行でも破綻が相次いだ。その後、もはやバブル後ではないとか言って、日本の経済も表面上は危機の後遺症も収まり、徐々に成長路線へと進行しているかに見える。しかしながら小泉偽装改革のせいで、地方経済の疲弊や格差の拡大が新たな問題として深刻化し、国内消費の浮揚力はもの足りず、ゼロ金利にも拘わらずデフレ脱却までには至っていない。
 
 日本の周りではこの10年間で経済環境は様変わりして、中国が日本の高度成長期を上回るような猛烈な勢いで成長してきて、貿易や資源争奪で新たな摩擦源となりつつある。韓国の電器産業や自動車産業は東南アジアで日本勢を駆逐する勢いである。ここにきて、米国発の住宅ローンバブルがはじけて世界経済にメガトン級の震源地となってきている。

 米国がサブプライムローン収拾で利下げをしたことから、投機ファンドの資金調達は容易になり、原油や商品市場への資金流入が加速して、1バレル100ドル近くにまで原油高が進んだ。オイル価格の上昇はバイオ燃料化への動きを速めていくので、小麦やトウモロコシの価格を押し上げて、生活必需品などの価格上昇につながっている。原油高騰が引き起こした物価の玉突き値上げの波は日本にも押し寄せ、この上に消費税まで上がれば、日本経済は完全にダウンしかねない。

 高度成長期の1億総中流意識がまるで様変わりして、このままだと1億総下層意識となりかねない。現に、15年前には生活保護世帯は60万件だったが、昨年は120万件と倍増しているし、サラリーマンの所得は9年連続して減少して、年収200万円以下の人口は、昨年20年ぶりに1000万人を超えた。このような状況のなかでも、永田町からは逼迫感が聞こえてこない。このままだと日本は世界の3流国へと転落していきかねない。
http://iiaoki.jugem.jp/