パリのロシア人

パリのロシア人
 まだ夏休み中の今年の9月に、ある企業の依頼でロンドンとパリへ市場調査と企画の仕事で出かけた。旅行費用もすべて込みで、ある一定の金額で引き受けたことであるから、航空券もホテルもすべてエコノミー価格で設定した。すでに何回もこれまでに、この二つの町には出かけているので、どこでどうすればいいのかは分かっていたが、前回出かけた数年前とくらべて、様子が様変わりしていることには驚いた。
 
 何が変わったかといえば、建物や地下鉄は何十年とあまり変化はしていないが、人々の様子、特に各国からの観光客である。ロンドンの百貨店ハロッズでもそうであったが、パリでは、ロシア人、中国人、韓国人の人々がどこへ行っても目に付いた。特にロシアからの観光客がシャンゼリゼー通りに溢れていた。

 オペラ座の前の通りには、以前は日本人目当てのお土産屋が軒を並べていたが、今は、そのほとんどが内容を変えていた。残っている日本人目当ての店でも、ロシア語、中国語、ハングル文字を目にすることができる。

 いまや中近東のオイル国と同様にエネルギー大国となったロシアは、そのマネーの投資先を見つけるビジネスマンだけではなくて、観光客がこれまで閉ざされていた西欧諸国へなだれのように流出してきているみたいだ。サンクトペテルブルグの夏の宮殿などはベルサイユ宮殿を真似しているとか、ロシア人にとって、フランスは憧れのところなのである。

 そういえばレーニンとカドストエフスキーなどもパリにはよく来ていた。凱旋門のそばで英語のできるロシア人と話をしたが、モスクワには日本レストランが300もあるそうで、ロシア人の家族連れで賑わっているそうである。少し日本に閉じこもっていると、世界ががらりと変わっていくことに気がつかなくなる。
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