会計検査院報告

会計検査院報告のあいまいさ
 会計検査院は司法、行政、立法機関のいずれからも独立した行政機関である--日本国憲法第90条第2項、会計検査院法第1条--。その検査権限は内閣及びその所轄下にある各省庁のみならず、国会及び最高裁判所をも含むすべての国家機関に対しても及んでいる。憲法90条によれば、国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
 
 先日、報告された2006年度決算検査報告によれば、記載されている不当事項の件数は361件で、その金額は100億円にものぼる。不当事項というのは、法令や予算の使途に違反する事項であり、要するに税金の無駄遣いということになる。

 問題は、検査院の900人の調査官がすべての国の業務を検査しているわけではなくて、全体業務の数パーセントという。また、不当事項として報告される金額は100万円以上であるから、公表された数値は、まさに氷山の一角ということになる。

 さらに、法律に「官公庁などは検査に応じる義務を負う」と明記されているが、各省庁が会計検査に協力的とは言えないし、検査報告への記載に難癖をつけられた場合には、検査報告には掲載しない慣例まであるという。検査案件が途中でうやむやにされてしまうことを、検査院で「ポケットに入る」という隠語まである。憲法で規定されている会計監査院の独立性すら疑われてしまう。これでは会計検査院を監査する監査委員会が必要となるであろう。

 今回、報告された件数のうち、およそ7割が厚生労働省農林水産省関係であることから、年金とか補助金にかかわる行政がいかにいい加減にされてきたかが判明している。米国や英国では当然ながら、検査基準は公表されているし、役所が拒否しても強制検査する権限なども認められている。

 最後に、会計検査院の役人も、ある時期が来れば、これまでに検査対象としていた財団法人や社団法人に天下りしていることは、食品関係ですでに問題化していることを付記しておく。
http://iiaoki.jugem.jp/