偽装王国ニッポン

偽装王国ニッポン
 思えば偽装という言葉が世の中で主権を得てきたのは、小島とか姉歯とか言う名前で出てきたマンションの耐震偽装が発端のような気がする。その後、食品関連でケーキ、食肉、チョコレート、赤福、地鶏、高級料亭など出るは出るはで、その勢いは止まらない。関係当局には毎日300件ほどの食品偽装の通報がもたらされているという。建材関係でも、エレベータ部品、耐火材料、高速道路建設材など次々と発覚してきている。お隣の国の偽装ブランドを揶揄してきたが、もはや他国のことを云々する資格がなくなってしまった。


 国民の愛する温泉についても、はじめは長野県での入浴剤使用による温泉偽装が明るみに出されていたが、週刊誌の中吊り広告で「箱根の湯の16--は人工の温泉であった」と見て、歴史のある箱根の温泉までも偽装に侵されていたとは驚きである。登山鉄道の終着駅から大型ロープウェイに乗り、降りた所に箱根の名所である大湧谷がある。大涌谷から噴出する火山ガスを水にくぐらせその成分を含ませて温泉にしているということだ。

 こうなると自分自身の周りでも、何か偽装がないかどうかを確かめたくなる。毎日口にする食物から、住んでいる家屋、読んでいる書物、着ている衣服に始まって、こうして書いている自分のパソコンまで、すべて本物なのであろうか。生きてきた人生そのものも、何か仮の姿であるのかもしれない。疑えばきりがない。
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