水増し請求

水増し請求
 防衛大臣の報告によれば、過去5年間での防衛省関係の物品調達での水増し請求は600億円弱で、これに関係していた商社は10社ということである。この数値は外部の調査ではなく、省内での調査ということであるから、外部から厳密な調査をすればどこまで膨れるかわからない。このような水増し請求は防衛省だけのものではなく、多かれ少なかれ中央官庁から市町村の末端の役所まで日本国中で行われてきているだろうと推測してもおかしくはないと思う。

 水増し請求が当然の如く行われてきた防衛省防衛庁)での構図は、過去のいきさつから次のように考えられる。1951年の朝鮮動乱をきっかけとして、米軍司令部が警察予備隊結成の許可を出したときにはせ参じたのは旧日本軍の関係者であった。

 すべてゼロからのスタートであるから、さまざまな備品の調達には多くの商社やメーカーが参入したはずである。外地から帰還した戦犯に問われなかった参謀や将校は、予備隊、商社、メーカーに職を見出し、ここに旧日本軍の組織が生かされていった。

 彼らの最大の仕事は1959年の1000億円の空中戦と当時騒がれた第一次FX商戦である。その後、地対空ミサイル、領空浸犯警戒のバッジ・システムなどの米国軍需産業と結びついた大型商談があるたびに、政治家、自衛隊、商社というこの鉄のトライアングルが作用していたことであろう。この延長上にある最大の事件が田中事件ということになる。

 商社やメーカーにいた旧日本軍人は退役しても、その後には次々と防衛庁自衛隊から人材が天下りで供給されていったので、未だにその関係は強固に継続しているものと推測される。今回の守屋事件は、そのような構図の中で仕事をしてくれば、水増し請求などはごく当たり前の慣習として続いてきたものと思われる中でのことだ。
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