パリーのカダフィー大佐

パリのカダフィ
 リスボンでの第2回欧州アフリカ首脳会議を前にリスボン大学で「旧宗主国は植民地化されて富を略奪された人々に補償しなければならない」と述べ、植民地時代の補償問題を提案した。さらに「超大国国際法や国連を無視し、こうした枠組みを逸脱して行動したことから、弱者がテロリズムに頼るのは自然なことだ」と述べ、テロ行為に一定の理解を示す持論を展開している。さらには国連の弱体化と、エリートだけが代表になっている常任理事国の権限を批判した。


 この会議では約70カ国の首脳が出席して、平和と治安、民主主義と人権、貿易と開発、気候変動とエネルギー、移民と雇用の5議題を協議した。欧州連合にとって、アフリカ諸国はかっては植民地として数々の権益をほしいままにしていたが、ここにきて中国が積極的に進出してきて、エネルギー資源などを奪い去っていくのを食い止めることが、この会議の主題であろう。

 その後、34年ぶりにサルコジ大統領の招きでパリを公式訪問した。豊富な原油マネーでフランスからの5000億円にもなる航空機や発電用原子炉購入など大型商談を取りまとめる予定であるが、リビア国内の人権状況などを野党は強く批判している。

 特に「経済・軍事契約締結のために人権の伝統を踏みにじっていいのか」とか、「民主主義国家の議会で、独裁者に対し赤いじゅうたんを広げる必要はない」、「フランスは指導者だろうがテロリストだろうが、犯罪によって浴びた血を好き勝手に拭き取らせるべきではない」などとの意見が表明されている。

 かってはテロリストを擁護する過激な指導者が、手の裏を返したからと言って、一度血で汚された手は元には戻らない。それでも、サルコジ大統領は「核兵器開発を放棄した指導者には放棄しない国と別の対応をすべきだ」として経済優先を貫こうとしている。「NYの金日正」ということが実現することもそう遠くはないかもしれない。来年2月にはNY交響楽団の公演が平壌で開催されることも決定している。
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