日本の品質管理

日本の品質管理
 1945年の敗戦でまっ平らになった東京の中心部を目にした人も少なくなってきている。そのような状態からわずか35年後の1980年には、石炭や石油など鉱物資源の乏しい日本を米国に次ぐ世界第2の経済大国に押し上げた原動力は勤勉さや知恵に支えられた物づくりということであろう。その背景にはたゆまぬ工業製品の品質の改善と向上技術があったはずである。


 1990年前後からの経済破綻を受けて、この品質に対する絶大なる信頼が薄れてきて、その後、さまざまな品質に関するトラブルが出てきた。三菱自動車のハブ欠陥事件では、品質部門の最高責任者が有罪判決を受けた。ハブ強度の不足を認識していたにも拘らず、社名を汚すことと経済的負担を恐れてリコールなどのなすべき措置を取らなかったと認定された。

 大企業では自分は歯車の一つであり、自分だけが悪いのではないとの認識があるが、個々の歯車は責任をもって業務を果たさなければ、欠損した歯車となってしまう。この自動車会社ではトラックのクラッチ欠陥事件で運転手が死亡したことにつき、社長以下役員までが業務上過失致死罪に問われている。近々判決が出されるが、企業の社会的責任CSRとか法令順守コンプライアンスが厳しく問われる時代となってきていることを改めて認識したい。

 また、日本を経済大国にした日本的品質管理が国際的な標準であるISOの管理基準にとって代わられてきている。だから日本の品質管理がおかしくなったとまでは言いたくはないが、グローバル化とトラブルの多発は時期的には一致してことは気になることである。

どこが違うのかといえば、前者はクローズド・システムでとことんまで品質を追求することだったが、後者はオープン・システムで決められた手順に従って仕事をすることが求められている。この両者のいいところを組み合わせたハイブリッド型品質管理システムを構築する時期に来ているようだ。
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