ミサイル迎撃実験

ミサイル迎撃実験
 海上自衛隊イージス艦から発射された迎撃ミサイルが、ハワイの米軍ミサイル基地から発射された模擬ミサイルを大気圏外で直撃することに成功したことが大きく報じられている。準備にかなりの金と時間をかけて、諸条件が整えられた試験室内での実験であるから、これで仮想敵国から日本へ向けられた弾道ミサイルに対して対抗し得るとは誰も思ってはいない。


 攻撃は最大の防御であるという言葉は、スポーツ競技でのことであるが、軍事上のことでもこの原則は成り立っている。同時に多数のミサイルが標的に発射されたとしたら、防御することは不可能である。米軍でも同様の実験をこれまで10回程度しかしていない。

 しかも、民主党の支配する米国議会ではこの種の軍備拡張に対する予算が縮小されてきている。米国の予算では実験できないから--同盟国の日本を巻き込んで金を出させて実施したのが今回の試験と想像される。

 どれくらいの金が使われたかは公表されないが、通常はミサイル1発が10億円で、その他もろもろ準備費用として100億円にもなるのであろう。米国が進めるミサイル防御システムは、東欧圏での配備が、ロシアの反対で頓挫しかかっているから、試験するなら頼りはやはり弟子の日本ということになる。

 軍備、特に防衛用のものは、これでよいという限界はない。だから防御システムを進めていくと、世界で軍拡競争になってしまう。これこそ米国の軍事産業の狙いなのだろう。平和憲法を維持する日本が攻撃用ミサイルを備えることはできないことは明らかである。ひとたびミサイル戦争が勃発したら地球は滅亡する恐れがあるのだから、無駄なことに金を浪費しないで、共存共栄の道を積極的に求めていくべきであろう。
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