日中関係を読む

日中関係を読む
 中国訪問中の首相は温家宝首相と首脳会談を行い日中の戦略的互恵関係の強化で一致するとともに、胡錦濤国家主席の来年春の訪日を確認した。東シナ海のガス田開発問題については、早期解決を目指して協議を継続する決意を共有したという。この問題はすでに中国は着々と開発を進めて一部ではガス採掘事業が始まっている。北朝鮮と同じように中国側は口だけのことで、このまま先送りしても何も痛痒は感じないはずだ。


 今回の訪問で大歓迎を受けていると報じられているが、それならば宿泊は国賓に用意されている釣魚台国賓館の最高レベルの部屋が用意されるべきであるが、街中の高級ホテルに宿泊しているのはおかしい。また、この訪問を機会に首相の本が出版されているというが、これも日本側で親日家の王毅駐日大使と相談して作成したものであろう。

 北京五輪を前にして、国内の反日感情を刺激したくないとの配慮がにじみ出ている対処と読み取れる。厳重な警戒のもとで行われた首相の北京大学での講演でも、学生の反応は半ば冷やかなものだったので、日本のメディアでも詳報してはいない。これら一連の動きから、日本とことを起こしたくないとのメッセージがありありと伝わってくる。

 いま中国で最も警戒していることは日本関係よりも、警備当局が三つの敵としている、チベット自治区ウイグル自治区の独立派の動きと、非合法化した気功集団の法輪功による破壊活動の防止である。日本のアニメや漫画が若者の心をとらえているとテレビでも報道されているが、それは一部のもので、学校での愛国主義教育の手綱を緩める気配はない。

 南京では大虐殺記念館が最近再開して、展示面積もこれまでの10倍に拡張され、旧日本軍の残虐性を強調する写真展示も大げさになっているという。北京五輪でも日本からの選手および観客とも、ある程度は心の準備をしておいたほうが良いと、警告してくれている知日学者もいるようだ。
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