格差の原因

グローバリズムがもたらした格差
 1970年代の米国はベトナム戦争(1960−1975)の後遺症で政治経済とも疲弊して、社会は暗く沈澱していた。1980年の大統領選挙を制して就任したレーガン大統領(1911−2004)は大幅減税と積極的財政政策でアメリカに長期の好景気をもたらす契機をつくった。この経済政策はMITのノーベル経済学者であるフリードマン教授の指導によるものである。

 レーガノミックスと呼ばれた経済政策の骨子は、政府側では規制緩和、小さな政府、減税による労働意欲の向上と投資の促進、企業側では市場経済の導入、合理化促進、成果主義などである。この結果もたらされた新自由主義とでも呼べる経済政策がグローバリズムへとつながり、成功者が出ることで全体としての底上げが可能といわれた。しかしながら、ここでもたらされた市場主義経済は全体として最適な解とはならずに、格差社会を生み、地球環境の悪化を招いた。

 日本との関係では、今の中国と米国との関係のように、貿易不均衡が進み、1985年のプラザ合意で円の切り上げがなされたが、それでも不十分で1989年には日米構造協議が毎年はじまり、日本の構造改革が米国側からいろいろと提案されるようになった。その結果、日本にもたらされたのが市場原理主義の導入で、小泉内閣が進めた構造改革なくして成長なしのスローガンで、弱者切り捨て論が横行して、現在の格差社会が生まれてきた。

 古代ローマ帝国の崩壊も社会の様々な所に生じた格差がそのきっかけとなったのではないかと思うし、ソ連帝国のゆきづまりも、軍事力依存過多が引き起こした経済格差の拡大がその原因となっているように考えている。このように考えると、現在、国の内外で生じ始めている不均衡あるいは格差の拡大はこのまま放置すれば、第三次世界大戦の引き金ともなりうるし、文明社会の崩壊にもつながりかねない。

 環境問題も炭酸ガス排出量論争を見てもわかるとおり格差問題である。あまり頼りにはできないが国連を中心として、この格差解消へ向けてのロードマップを作成していくべき時が来ている。
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