私立大学の資産運用

私立大学の資産運用
 米国ではほとんどの有名校は私立大学で、国家からの独立性を重んじているから、日本のような国からの補助金などはありえない。自ら大学の運営資金を授業料以外から捻出しなければならない。そのため、それぞれの大学には資産運用のプロがいて、金融工学などを駆使して、株式投資はもとより、デリバティブヘッジファンドにも投資して、年間平均25%の投資利益を生み出している。
 
 国内では4年制私立大学を運営する516法人が昨年度に運用した資産は約9兆円で、その平均利回りは1.6%という。その結果これで得た収益は1500億円程度で、収入全体の3%という。学校法人ではリスクを取ることが制限されているため、どうしても保守的な運営しかできないので、米国のようにはいかない。国立大学ではさらに条件は厳しくなり、運用は預金や債券などリスクの低いものに限られている。

 米国の大学では資産運用のために単独で1兆円以上の基金を持つ大学が10校あり、ハーバード大学の4兆円、エール大学の3兆円、スタンフォード大学の2兆円などがある。これらの超有名大学では予算に占めるこの資金による運用益が30%にもなっていて、優秀な教員を高給で引き抜いたり、学生の奨学金制度を充実させたり、最先端の研究設備を購入したりすることに当てている。

 資産残高が5000億円以上の大学での、資産配分は株式45%、ヘッジファンド20%、債券20%、不動産10%などであり、日本の大学のような銀行預金はほとんどないのが特徴である。毎年は公表されている世界の大学ランキングでは、これらの資産豊かな米国の大学がトップテンを占めていることも理解される。日本は東大が15位、京大が30位程度で、私立大学は早稲田と慶応が200位程度である。金がすべてではないにしても、財政豊かな大学は最先端の学者と研究設備を集めることができる。
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