小麦の管理貿易

小麦の管理貿易
 食糧自給率が40%を切っている日本であるが、日本人の愛食するうどんやパンの小麦は95--が輸入に頼っている。不思議なことはパンでもラーメンでも、特別なものは除いて末端ではあまり価格差がないし、値上げもほぼ一律になっていることである。それもそのはず、小麦も原油と同じで霞が関が完全に輸入を取り仕切っているから、自由に商社が輸入しているわけではないからだ。
 
 小麦については農林水産省が商社に輸入を委託して、すべての小麦を買い取り、これに利益を上乗せして製粉会社に売る。昨年後半の例だと、買付価格が1トン当たり3.5万円で、これを製粉会社へ5.4万円で売り渡すから、トン当たり2万円弱の金が農水省の懐にため込まれる。

 この莫大な金は事務経費、災害時の備蓄費に20%程度回るが、残りはほとんど国内の小麦粉生産農家への補助金となっている。全国で10万戸弱の関連農家1戸へ年間100万円弱もの金が出されている。これが族議員の票となって帰ってくる仕掛けであろう。

 世界的に穀類価格は上昇しているが、わが国のこのシステムのために国内の小麦価格は米国の3倍であり、国民は不当に高いうどんやラーメンを啜っていることになる。この3月には、もう一段価格上昇が予想されている。霞ヶ関役人の言う通りの行政をしていると、そのうち国民食のラーメンは高級食材となり、庶民は口にできなくなるかもしれない。
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