格付け

格付け--Credit Ratings--
 サブプライムローン問題を世界中にばらまいた元が、格付け機関のつける評価のいい加減さであると言われている。それに対して、今月9日に東京で開催されるG7--先進7カ国財務相中央銀行総裁会議--では、金融商品の信用度を評価する格付け会社のあり方が議論されるという。

 EU側では今回の市場の動揺のもとは格付け機関であるとの認識であるが、大手の格付け会社は米国にあるので米国側ではその規制には消極的と思われる。議長を務める日本としては指導力を発揮したいところであるが、双方の顔色をうかがいながら、結局はあいまいな結論となるであろう。


 ところで、格付けとは文字通り、企業の成績評価であるが、企業価値評価との関連で必ずしも高いランクがいいとも限らない。企業は金を集めて、いろいろなプロジェクトに投資して、金を増やす、すなわち価値を増大させる活動をする。

 カネは主に銀行などから借りたり、社債の発行で集める債権者サイドの側面と、株式発行で金を集める株主サイドの側面がある。格付けというのは前者に対する債務償還能力で評価される。要するに、債券の元本と利息を発行機関に予定通り支払える能力である。

 この支払い能力に関係する財務指標のひとつに株主資本比率--自己資本比率--がある。この比率が高いほど、すなわち総資産のうち株主資本が大きいほど、有利子負債が少ないから「よい会社」との評価を受けて格付けが上がる傾向にある。一方では、株主資本比率が高いということは、資本コストが高くなり、企業価値からは必ずしも好ましくはない。

 格付けを上げれば、企業価値が上がり、株価が上昇するという単純なことではない。あくまでも、格付けは単に債権者サイドからの企業の債務償還能力を見ているだけである。アメリカの大企業では、シングルA程度の格付けを目指して財務運営をしているところが多いのも、この関係である。
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