ドル安

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 円相場は前日比1円65銭円高・ドル安の1ドル--103円68--78銭と、2005年3月以来、約3年ぶりの円高となった。米連邦準備制度理事会--FRB--のバーナンキ議長が議会証言で、「米国製品の輸出はドル安に支えられた」などと発言し、FRBがドル安を容認したと受け止めた市場参加者が多かったこともドル安に拍車をかけた。さらに、「小規模金融機関の破綻が増える」とも発言して、ドル離れに加速がかかった。
 
 世界経済の流れを演出するFRBの議長の発言であるから、迂闊なことをいうわけがないので、予めその効果を予測したものであろう。ドル安は米国製品の輸出増加につながるので、景気後退の淵にある米国にとっては、一時的には好都合というものだ。

 しかしながら、「強いドル政策を支持する」とも大統領が述べているのは、米国から投資資金が大幅に流出すれば、ドル安に加えて株安や米国債の債券相場も下がり、金利上昇の恐れを懸念しているとも見られる。そのためにFRB政策金利のさらなる引き下げに向かうであろう。

日本では円相場安定のための市場介入に備えて、ドルなどを外貨準備として100兆円保有しているが、1円の円高で約1兆円もの評価損が出るから国庫に大きな損失を与えることとなる。外貨準備高はいわば埋蔵金であるから、もっとうまく運用してより高い利回りに向けるべきとの意見も出ている。

 この1兆ドルに近い金を投資で減らせば、世界の投資資金の米国離れを引き起こしかねない。いずれにしても、日本としては依然として米国の景気だけが頼りという枠組みから逃れることができない。
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