日銀総裁の通信簿

日銀総裁の通信簿
 19日の任期切れを前にした金融政策決定会議で「至らぬ総裁でしたが、メンバーの皆様に知恵を出してもらい、協力し合って頑張ってきました」と現総裁が挨拶したという。5年前の就任時にはデフレ克服という命題を与えられていたはずであるが、この約束すら果たせず、村上ファンドに投資して金儲けをしていただけという印象が強い総裁であった。まさに至らぬ総裁そのものであったし、政府が提案している次期総裁は、この至らぬ総裁ともに、副総裁を務めてきたのだから同罪であり次期総裁の資格はないと思う。
 
 消費者物価指数がほぼ横ばい状態にも拘わらず、平成6年に量的緩和解除に踏み切り、続いて2度にわたりゼロ金利政策をやめて利上げに踏み切った。結果的にはこの金融引き締め政策のためにデフレ脱却に失敗したことは明白であろう。このことはそれを境にハイパワードマネーが115兆円から85兆円にまで下がり、実質金利の上昇を招いたことからも読み取ることができる。

 要するにデフレ進行中に通貨供給量を減少させる政策をとった罪は大きい。初歩の経済学教科書に書いてあることに反する政策をとったのである。実質金利名目金利から予想インフレ率を削減した値であるが、これの上昇は企業の設備投資などの実体経済の足を引っ張ってしまった。自ら招いた政策の失敗を昨年夏に顕在化した米国のサブプライムローンのせいにするのは許しがたい。

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