輸出頼みの日本経済

輸出頼りの経済構造からの脱却
 日本の経済構造は外需頼みで、景気回復はまず輸出企業が主導してから、内需が動き出して全体が底上げされる仕組みになってきている。ところが小泉政権が誕生した2000年ごろから、この仕組みが崩れてきた。日本経済の輸出依存度がますます大きくなっていったが、これがいつまでたっても内需に反映されてきていない。その原因は構造改革なくして成長なしという、その改革そのものが失敗したからである。


 派遣業法の見直しで非正社員が急増して現在では35%にもなり、格差の大きな原因となっている。社会保障関係でも、医療費の負担増は特に高齢者には厳しく、年金に至ってはボロボロの状態になって、社会不安のもととなっている。改革の成果は国民生活を痛めつけ、生活環境が悪化したので、将来への不安から個人消費は依然として停滞したままである。子供を安心して産める状態ではなく、産んだとしても将来に対して見通しがないので、少子化はますます進むだけである。

 政府の宣伝では、日本経済は戦後最長の拡大期を続けているというが、実際のところは輸出産業が儲かっているだけで、日銀も低金利の円安で助けてきた。ここにきて、米国発の景気減退が顕著になってきて、頼みの輸出に急ブレーキがかかっている。この事態に及んでも、霞ヶ関の意のままにしか物事がとり仕切れない政権は、来年度予算を成立させ、日銀総裁人事を決めることが景気対策としか言わない。

 いま政府が取り組むべきことは、これまでの国会の議論を通して明らかにされてきているように、道路財源など無駄遣いの温床である特別会計を取り崩して、これを真の景気対策に充てることであろう。官僚の天下りシステムと族議員の利権構造の巣である特別会計にメスを入れない限り、現在の危機的状況を打開する道はないと思う。
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