首相の無感覚

首相の無感覚
 資本主義ではなくて社会主義の国みたいとは言われてきたが、首相が経団連に企業の賃上げを要請したり、正規雇用者数を増やすことを依頼したりするのを見ていると、やはり官僚支配の全体主義国家だったのかとも思われる。それでいて、株価暴落や円高のことになると、これは経済の実勢に任せると無責任なことも言う。
 
 首相官邸のメルガマは首相自ら書いているのとは違うとも思うが、署名は首相本人であるから、書いてあることには責任を持ってもらわなければならない。最近のものを読んで、これではアカンと感じた人も多いと思う。当たり前のことをクダクダ書いているのを省略して、ポイントだけを引用する。

「(前略)物価が上がっても、皆さんの給与がそれ以上に増えれば、問題はありません。しかしながら、働いている皆さんの給与の平均は、ここ9年間連続で横ばい、もしくは減少を続けており、家計の負担は重くなるばかりです。(中略)日本経済全体を見ると、ここ数年、好調な輸出などに助けられて、成長を続けています。企業部門では、不良債権などバブルの後遺症もようやく解消し、実際は、大企業を中心として、バブル期をも上回る、これまでで最高の利益を上げるまでになっています。これらは、さまざまな構造改革の成果であり、そうした改革の痛みに耐えてがんばった国民皆さんの努力の賜物にほかなりません」。

 嘘かまことかは別にして、この分析は自民党政府の筋書き通りであるから、唖然として反対する人もいるが、政府がするべきことを何もしないで民間にお任せする姿勢は許すことはできない。恒久減税を廃止したり、医療費を引き上げたり、実質的な増税をして置きながら、民間に給与の引き上げをお願いするなどと、このような虫のいい話はありえない。得られた果実を分かち合いたいのならば、まずは道路特定財源などの特別会計にメスを入れて、官僚と族議員の未来永劫手の内に置きたいと思っている果実を放出させることである。

 いま政府がやるべきことは「恒久減税」と「特別会計廃止」の二点に絞られている。政権がするべきことを棚上げして、民間企業にそのしわ寄せを押し付ける政策は首相としての責任放棄そのものであろう。
http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/index.html
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