活仏制度

活仏制度
 チベット仏教の高僧後継者の認定制度で、活仏(かつぶつ)は高僧の生まれ変わりを表し、後継者となる子供は選定委員会が選び出して、最高指導者ダライラマが承認することで決まる仕組みである。1989年に中国当局ダライラマ側が選んだ少年ではない別の少年を後継者に選び、教育を施してきた。インドに亡命している74歳のダライラマ14世が他界して、中国側に都合のよい少年が活仏となった場合には、チベット民族自決を求める運動は求心力を失いかねない。そこでチベット僧侶側と民衆には焦りが出て来ているという。


 チベットと中国の関係は1951年に中国人民解放軍が進駐してから始まった。59年にはチベット動乱が起きて、ダライラマ14世はインドへ亡命して亡命政府を樹立した。65年にはチベット自治州が成立した。

 その後、ダライラマノーベル平和賞を受賞したり、中国政府が後継者を決定したり、中国からラサへの鉄道が開通したりしてきたが、ダライラマは独立を望んでいるのではなくて、香港と同様の1国2制度の適用を求めているだけである。

 中国の現主席はチベット統治で業績を上げたことで、前主席に認められたという。中国本土まで飛び火している民族自決の運動を収めないことには、地位を築いたチベット問題で、地位から滑り落ちる危険もある。

 北京での8月の世紀の祭典を前にして、チベットの安定は中国全体の安定であると言われているが、この安定確保は情報統制や軍事力では得ることができないことは歴史的にも明白なことである。
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