日本離れの原因

どうした日本
 1929年のアメリカの大恐慌に入る直前のダウ平均を取り戻したのは、それから25年たった1954年頃と思う。これは資本主義経済では企業家の叡智と技術革新で拡大再生産を遂げていくことが実証された例であろう。この例から推測すると、日経平均株価が最高値を付けたのは1989年の年末だったから、2014年には再びその値に到達することになる。しかし現状の日本を見ていると、あと6年で平均4万円になるとは誰も思ってはいないであろう。
 
 現在、ダウが1%下がると、日経は3%下がるという。ところで、1985年のプラザ合意の時には、日経平均は2万円程度に対して、ダウ平均は2000ドルほどであった。23年後の今では、日経平均はその0.6倍であるが、ダウ平均は6倍になっている。この差はどこから出て来ているのか、経済学者は誰も口を閉ざして語らない。

私企業も国民も相当な努力をしてきたはずである。そうするとこの差を作った責任は、政治家と官僚ということになる。中でも、この間、財政と金融に直接的に携わってきた日銀と大蔵省の金融政策と財務政策の失敗であることは明白であろう。

 米国のサブプライムローン問題は、日本の不良債権問題と酷似している。日本は最悪の政策で問題の解決を10年以上も引き延ばしてしまった。米国は日本を先生として、素早い手を次々と繰り出し、危機から脱出しようとしている。それに対して、日本はいまだに低金利政策という愚策を継続して、一般消費者から300兆円もの収入を奪ってしまったままである。これではGDPの6割を占める消費を増大させることはできない。日本の家計消費のGDP比は主要先進国で最低のままである。

 その上さらに、政治家や官僚は家計支出を低下させる政策をとっている。昨年、サラ金の上限金利を大幅に引き下げ、消費者金融業を壊滅させた。また建築基準法の改正にともなう過剰規制によって住宅投資は激減し、GDPを0.6%も引き下げた。

 さらには資本市場を世界に開放することも重要である。外資規制を撤廃し、労働市場を柔軟にして、海外の投資家にとって魅力的な環境をつくる必要がある。ところが政府高官は株主をバカよばわりし、日本の老朽化した企業を海外の投資家から守る制度にばかり目が行っている。こうしたことから、今の日本の株安はサブプライムローンをきっかけとした日本離れということのようだ。
http://iiaoki.jugem.jp/