後期高齢者医療制度

長寿
 日銀総裁が決まらないと経済が不安定になるとか、暫定税率が撤廃されると国民生活が大混乱に陥るとか宣伝していたが、蓋をあけてみると首相や政府が言うようなことは何も起こらなかった。むしろ、政府がそっとしておいて欲しかった年金や後期高齢者医療制度の方が、いろいろと混乱をきたしていることが徐々に明らかになってきている。


 3月19日に、このブログで「長寿は読んで字の如くおめでたいことであったはずであるが、今では後期高齢者という情けない役人言葉で片づけられてしまい、その上、保険料収入の貴重な財源とみられこととなった」と記載したが、首相はこのブログを読んだかの如く「後期はまずいから、長寿と改名したい」と言いだして、またまた混乱をきたしている。その上に「高齢者にとってよい制度だ。よいところを理解していただくようPRしなくてはいけない」と記者団に述べている。

 さて、後期ならぬ前期の高齢者にも分かりにくいこの制度を、首相が本当に理解して「よい制度」と言っているのか検証してみたい。この制度の趣旨は法律には「医療費適正化のため」と明記されている。厚労省も「後期高齢者にふさわしい制度」と説明している。これは表の看板で、裏の意味は75歳以上のお年寄りの医療費負担は、それ以下の年齢の5倍にもなっているので、これを何とか減らすために、後期の人には、早く決着をつけてもらいたいということだ。

 後期の人の診療費は1か月6000円と限定されている。つまり、これ以上かかる治療は個人負担となる。負担できない人は必要な診療は受けられないこととなる。病院側が赤ひげ精神でこれ以上の医療費はすべて負担するとは思えない。要するに、「75歳以上の人にはまともな診療をするな」という法律である。これは憲法25条にある「国民の生存権」と「国の社会保障義務」に抵触する恐れがある。

 さらに「終末期相談支援料」という何やらあやしげな制度がある。医者は終末期と判断した後期高齢者と今後の療養について話し合い、その内容を文書に残せば2000円もらえる仕組みである。たとえば、病状が急変した場合の治療等の実施の有無という項目がある。患者側に、もう延命治療はいらないと言わせれば、その医者は2000円もらえる。つまり、何も治療をしないで放置するということを、患者に承諾させれば報酬が出る仕組みである。

 1300万人の該当する75歳以上の人は国民保険とは異なる「あの世への待機医療制度」へ強制的に組み入れられる。保険料は年間18万円以上の年金受給者からは、年金から自動的に天引きされ、18万円未満の人は役所へ持参する。全国平均では月額6200円の保険料になり、保険料を1年間滞納すると保険証は没収され医療費は全額個人負担となる。

 極論すれば、医療費のかかる75歳以上の高齢者は早くあの世へと旅立つことを促す姨捨山医療制度である。全国の後期高齢者の方々、最初に保険料が徴収される4月15日は歴史に残る日となることを肝に銘じ、この制度を作って法律を通した政府与党には次の選挙では、あの世へ出かける前の最後の反旗を翻さなければならない。
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