日銀総裁のG7

線が細い人のG7
 政府からは線が細く、押しも弱そう言われていた総裁であるが「日本は1990年代後半以降に大きな金融危機を経験しノウハウを蓄積した。その経験をもとに国際金融市場の安定に貢献する議論をしたい」と抱負を述べた。さらに「金融市場の調整ができるだけ円滑に進むよう、各国中央銀行は努力しなければいけない」と強調した。

これに対して、早速に米国のFRB議長が反応を示し「日本は金融危機の対処法を誤り、10年以上も時間がかかった。そのような経験やノウハウは米国では全く通用しない」と反論されて意気消沈してしまったようだ。


 それはともかく、ワシントンDCでのG7では次のような共同声明が採択された。声明では為替相場について「前回会合以降、主要通貨において時として急激な変動があり、経済・金融の安定へ与え得る影響を懸念している」と指摘し、円やユーロに対するドル急落に懸念を表明した。「引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する」としている。

 ドル急落に懸念を示し、世界経済については「引き続き困難な時期に直面している」とした上で、新興国経済も国際金融市場の緊張や原油高など世界経済の下振れリスクの影響から免れないと指摘した。国際金融市場の混乱は「想定したよりも長引いている」として、前回の会合よりも厳しい認識を示した。

 これまでのG7での日銀総裁と全く同様に、財務大臣とともに何ら目立ったことをしないまま参加することだけで終わったようだ。慌てて副総裁から総裁へ格上げした意味はなかった。共同声明の内容も取りたてて評価すべきこともなく、仲良しクラブみたいなG7からは将来へのメッセージは何も聞こえてこない。週明けの株式市場が注目されるところであるが、あまり期待しない方が良い。
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