インサイダー疑惑

インサイダー疑惑
 野村証券の中国人社員がインサイダー容疑で逮捕された。先のNHKのインサイダー事件に引き続いて、証券会社においても、おきて破りの原始的な犯罪を引き起こした問題を、個人の出来心による犯罪と片付けることはできない。しかも当人は企業のM&Aを取り扱う企業情報部という中枢部に所属してことを野村証券は重く受け止めなければならない。

 誰もが市場は効率的であると信じて、市場に参加している。さまざまな情報をもとに、それらを市場が完全に価格に反映しているという前提がなければ、誰も市場に参加しなくなる。これが効率的市場仮説と呼ばれている取引の大原則である。情報の程度は過去の株価の動き、財務諸表など様々であるが、特別の情報を知り得る内部者が情報公開前に、関連する株式売買を認めたら他の投資家と間に著しい不公正が生じる。

 証券業界は今回の疑惑にとどまらず、バブル崩壊後、投資家からの資金横領、総会屋に対する利益供与、大蔵省接待疑惑、TOBに絡むインサイダー取引など同様の事件を繰り返して来ている。会社側はならず者、不届き者の仕業のように個人犯罪として処置する動きを見せているが、会社全体、あるいは業界全体としてこの種の疑惑を一掃しなければ、国際的にも日本株式の低落を防ぐことができなくなることを恐れる。

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