日本売りの原因

消費者庁で増す日本売り
 日本の製造業は早くから海外に進出して、国際競争力をつけてきたのは、国内での規制があまりなかったからである。時の政府が反対しても臨海製鉄所を建設した製鉄業、乗用車は米国に任せとけと言っても、言うことを聞かずに生産に乗り出した自動車業界など、おしなべて製造業は元気がよかった。政府の指導を排した産業があったからこそ、日本も高度成長という黄金期を築くことに成功した。


 問題はその業務の特質から国内しか目のいかなかった金融、運輸、通信、流通、保険などのサービスが主体の産業群である。必然的に国内だけの競争に目がいき、その上に規制というさまざまな行政指導のおかげで生産性を上げる改革などに手を染めずに、生きてこられたが、グローバル化が顕著となったここ15年ぐらいの間に、国際的には全く遅れた産業群となってしまった。

 サブプライムショックの影響を最も世界で受けたのは日本の株式で、NYやロンドンではせいぜい15%程度のマイナスであるのに比べて、昨年7月のピーク時からマイナス30%となっている。お膝もとの米国の銀行や証券会社と比べても、日本の損失は10分の1以下にも拘わらずである。どうしてこのような現象が起きているかというと、その一つがサービス産業の生産性の低さにあることは明白であろう。

 さらに、官製不況とも言うべきは、建築基準法の改定、貸金金利のグレーゾーンの廃止、日本入国に際しての指紋と写真の関門設置、新SOX法の施行、金融商品取引法施行、投資家への厳しい司法判断などは、霞が関が先導している経済統制の一環である。霞が関官僚の自己保身のための法律制定が深く進行している。

 これらの規制によりサービス産業の生産性がさらに失われて、国際競争力を低下させてしまう。その上、さらに消費者庁を設置して、ますますの生産性の低下に拍車をかけようとしている。これでは日本売りは抑えることはできない。
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