財政事情

国の財政事情
 財務省や政府を挙げての国の財政事情の悪化を取り立てて強調してきた背景には、言うまでもなく、消費税のアップを目指しているからである。騒動となっている高齢者医療制度の問題も、この制度を導入しないと増税しなければ財政は破綻するとのメッセージであるにすぎない。


 財政制度等審議会は09年度の予算編成の基本方針について本格的な議論を始めている。地方自治体の財政健全度を示す指標を国に当てはめると、国の財政状態は財政破たんした夕張市より悪いとの試算結果を財務省が提示し、財政再建の必要性をあらためて強調した。地方自治体の財政健全性を表す「実質公債費比率」を国に当てはめ計算すると、80%で、公共事業のために起債できなくなる水準に達しているという。

 2007年度末の国債や借入金などを合わせた国の債務残高は前年度よりも2%増えて850兆円に達していると財務省が先日発表している。すべての国民数で割り算すると1人当たり約665万円で、前年度よりも12万円増えた。高齢化の進展で社会保障費は増加する一方で、景気回復による税収のアップは期待薄で、今後も借金は増えると予想されている。

 これに対して、「さらば財務省」の著作で売り出している元財務官僚は、日本政府には多額の資産があり、05年度末で約540兆円に達しているので、これを債務から差し引くと、純債務は300兆円となり、財務省が煽りたてるほどには破滅的な財政危機ではないと述べている。

 特別会計埋蔵金などとともに、本当の財政事情は国民には分かりにくいことが多い。永田町と霞が関ではわざと分かりにくくすることで、国民の目を誤魔化そうとしていることだけはよく分かる。
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