100万人のデモ

100万人のデモ
 2月の大統領就任時は75%の支持率であったが、わずか4ヶ月で20%を割って、秘書官や全閣僚が辞表を出した。連日のデモは100万人デモと言われている。経済をテーマとして当選した大統領であるが、貨幣価値は10%も下がり、インフレが5%も進行していた。そこへ、冷たくなっていた米韓の復活に、BSE牛海綿状脳症)感染の可能性のある月齢30か月以上の米国産牛肉の輸入を解禁したことが国民の怒りのきっかけとなった。


 思えば日本でも1970年代では、日米安保問題をきっかけとした大衆デモが行われたが、今では政府がBSEの恐れのある牛肉を解禁しても、もらえる年金を失っても、国民の怒りは表面には出てこない。それだけ民主主義が成熟したのか、もはやあきらめているのかは分からない。結果は選挙に表れているから、やはり日本は大人になったと考えるべきかもしれない。

 日本の首相も昨年秋の就任時には60%の支持率であったが、今は20%程度で、その結果は山口の衆議院補欠選挙でも、沖縄の県議選でも与党は敗北したことに表れている。7月7日に迫った北海道サミットで指導力を発揮して、支持率回復へ結び付けたいと躍起になっているが、年金、医療、物価、安全など目の前に迫っている心配ごとで、国民は炭酸ガスどころではなくなっている。この人の政治家としての欠陥はその言葉にあると、ある政治評論家が指摘している。

 いまから10年前に、参議院選挙の敗北を受けて首相になった小渕氏は、就任時の支持率は30%程度であったが、真面目でソフトに国民に語りかけて、首相の体温を伝えることで、支持率は亡くなる寸前では50%を超えていた。「物価が上がるのはしょうがない」、「厚生労働大臣の仕事でしょ」等とまるで他人事で、国民の心を揺さぶる発言はこの人からは皆無である。言葉だけが政治家と国民を結ぶ手段であるから、それで人に感動を与えることのできない政治家では支持率の回復は難しい。
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