改革の成果

改革の成果は何か
 「改革なくして成長なし」と絶叫していた姿が懐かしい。当初は小さな政府で効率よく行政ができるシステムを誰もが確かに期待していたはずだ。自民党と官僚組織を破壊するというから、だからこそ国民はある種の熱気を持って首相として迎えたと思う。その結果、どこにどのような成長を目にすることができたのであろうか。これについては誰も整理して示してはいない。


 250兆円の財政赤字の積み増し、相変わらず道路建設が進められる民営化道路公団郵政民営化でこれまでの恩恵に取り残された人々、毎日100名にもなった自殺者の増加、年金保険の崩壊、介護保険の崩壊、医療制度の破壊、高齢者医療システムの杜撰さ、公約破りなどはたいしたことではないというモラルの欠如によって引き起こされる凶悪犯罪の増加、官僚による税金の無駄遣い使い放題、大手をふる天下り組織と談合システムの存在、国民につけを回した大手銀行の不良債権処理などを改革の成果というのである。いま流行している言葉でいえば、これを偽装改革という。

 財務省官僚として、この改革を支援していて、最近、ある大学に転身した先生が精力的に財務省時代の霞ヶ関埋蔵金などの自慢話を書いている。その中にはなるほどと思わせることもあるが、上に書き出した改革の成果を説明する記載は一切ない。

 改革の成果というならば、積み増した赤字国債をいつまでにどのようにして縮小するのか、民営化した道路公団により、どの程度国民は税金を払わなくて済むのか、郵政民営化で国民にどのようなメリットが出ているのか、小さな政府となって官僚への給与負担がどれくらい減少したのか、天下り官僚や官製談合がどれくらい減少したのか、低金利で国民一人当たりどれくらい資産を失ったのか、すべて具体的な数値で示してもらいたいものだ。

 構造改革を悪と言っているのではない。その成果が具体的にどのように出ているのかを知りたいと思う。ノーベル経済学賞の受賞者が言っていたように、パイの切り方を変えても何も変わらない。同じパイならコストを下げるとか、パイをいかにして大きくするかを本当の改革という。
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