ものを言う株主

ものを言う株主
 今週をピークとして上場企業の株主総会が始まっている。原油をはじめとする原材料費の高騰、ものを言う投資ファンドの進出、非正規社員の増加に伴う問題、穀物などの食糧品の逼迫、環境コストに対する企業の取り組み、製品安全への対策など、企業を取り巻く状況は楽観を許さない。今年は特に企業の存続に疑義が存在するところが異常に多いと、ある監査法人から指摘されている。
 
 1970年から80年の高度成長期では、株の持ち合いと銀行支配のもとで日本企業の株主総会は、できるだけ短時間で終わらせることが担当者の手腕の見せ所と言われていた。資金調達の構造が平成不況を境として変化したために、総会で株主が発言する機会が増加した。投資ファンドなどの株主が株を保有する企業に物を申すと言っても、経営者の人事や会社の大まかな経営方針に対してだけである。

 経営者の人事を覆す事態も起きたり、経営方針への注文も増えて来ている。たとえば、株主資本利益率ROE20%以上、総資産利益率ROA10%以上の達成を要求するようなケースが増加している。要するに、ものを言う株主に対して、言わない株主は期待を込めて投資しているのに、何も発言しないのであるから、株価が上昇しなくてもいいですよと言っていることと同じであろう。

 同じことは国と国民との間でも言えることである。税金を納めている国民は国という企業の株主であり、国に対してものを言う権利がある。ものをいう機会は選挙であるが、これだけでは言いたりないと思ったら、陳情やデモなどの大衆行動の手段がある。お隣の韓国ではそうして主張する国民がいるみたいであるが、近年、日本にはものを言う国民はいないみたいだ。
ROE株主資本利益率=純利益÷株主資本
ROA総資産利益率=純利益÷(負債+株主資本)
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