前座役の拉致

前座役の拉致問題
 日米関係から考えて、さすがの米国も拉致を置き去りにすることで、日本国民からの反発を恐れて仕組んだお芝居が2週間前に北京であった。その時には、北は拉致再調査を軽々と口にした。それを受けて、日本は制裁緩和に踏み切ると発表して、米国の前座役を務めた。

 当然に日本政府も事前にすべて知っていてのお芝居をしたものと思う。もしそうでないとすれば、あまりにも不甲斐ない体たらくであろう。再調査についてその後、北からは何の音沙汰もないことは言うまでもない。この先、返事があったとしても内容は言われなくても分かっている。


 「強い気持ちで交渉する」とか「いい加減な調査は許されない」などと官房長官自民党の幹事長がいうが、これまでもすべて北の言うままで事態は推移してきている。相手側の情報だけが唯一の頼りでは交渉にもならない。ましてや相手はこれまでにも先進国を相手に、空手形の連発で生きてきた百戦錬磨の国である。

 「こんなに長い間、国民を助けることができない国家とは何ですか」と横田めぐみさんの母親が嘆いているが、自民党の政治家は拉致問題を梃にして人気取りをするための道具としか考えているとしか思われない。日本の政治家だけではなく、米国の大統領も同じであろう。

 半年遅れで核計画申告書というエビを提出して、テロ支援指定国家解除という鯛を米国から釣り上げた北の外交手腕はたいしたものである。古い核施設を破壊するTVショーまで演出し、しかもこれに要した費用は6カ国会議に請求するという。最後の仕上げは8月8日の北京五輪の開会式で、北と米国の両大統領が握手をすることが予想されている。このとき、わが首相はどこを向いていたら良いのだろうか。
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