サミットの舞台裏

サミットの舞台裏
 お互いに国内の支持率が20%程度の首相と大統領がそろって記者会見に臨んでいる風景もおかしなものである。初めてのサミットと8回目の参加というのも対照的であるが、双方ともこれが最後の会合となるというのも何かの因縁であろう。知性も教養もない空虚な内容を聞いているだけで絶望感にとらわれてしまう。


 参加首脳のうち国内で支持率が50%を超えているのはドイツとロシアだけで、日米の二人を除くと後は30%前後である。だから、サミットでは、誰もあまり責任を負いたくないと考えているようだ。要するに何も決めたくないというのが本音である。

 首相も私は議長だからと、口を開けば強調していたし、米国の首脳もミスター・チェアマンなどと煽てていたが、その心はお互いにこの会合の主役は俺だといわんばかりである。経済政策の無策を環境問題にすり替える作戦で臨んだが、アフリカ7カ国の首脳は「地球温暖化問題には関心がない」と言い、必要なのは経済発展と産業振興と一蹴されてしまった。それにはエネルギーをどんどん使うしかなく、それを規制する炭酸ガス削減など彼らにとっては邪魔なだけだ。

 原油と食糧高騰、スタグフレーション、経済不況、核戦争など危機が国際的には複雑に重なり合っている。2050年の50%削減を言う前に、これらの解決すべき諸問題に何ら策を出すことができないサミットは、まさに首脳サロンというべきであろう。予定されているサミット宣言の内容は、曖昧で飾りの形容詞の多い空虚な言葉の羅列になることは目に見えている。

 600億円も税金を投じたことに対して、得られた成果はこの10分の1にも満たないであろう。サミットの提灯もちで、NHKも地球エコ2008などと放送し続けているが、いずれも5%前後の視聴率で国民の関心の薄さが分かる。さらに、サミット会場での映像も映し続けて、お互いにファースト・ネームで呼び合ったというような低次元の内容しかコメントしない。サミットの真実の姿を放映するのが国民放送の義務であろう。
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