国策裁判

バブルの後始末の責任
 日経平均株価が最高値を付けた1989年12月の株価は38915円であったが、この時のNYダウ平均は2500ドルだった。現在の株価は、先週末で日経平均12800円に対して、NYダウ平均はだいぶ落下したとはいえ11500ドルである。20年間足らずで、日経平均は3分の1に下落しているが、NYダウ平均は5倍にもなっている。為替の変動もあるが、それだけではこの差は説明できない
 
 資本主義は拡大再生産の繰り返しで発展していくとの原則から考えると、日本経済は資本主義の原則からは大きく逸脱していることが理解される。日本では、この間、低金利のせいで日本国民は300兆円もの金利収入を失ったことになる。金融政策を司る日本銀行と財政政策を司る旧大蔵省の失政は明確であるが、過去の日銀総裁も大蔵大臣も誰一人として、この経済破綻に対する責任を取らされてはいない。

 1998年に経営破綻した旧日本長期信用銀行(現・新生銀行)の粉飾決算事件で、最高裁証券取引法違反と商法違反の罪に問われた元頭取ら旧経営陣3人について執行猶予付きの有罪とした1,2審判決を破棄し、無罪とする判決を言い渡した。 この銀行には8兆円もの税金を投入して、回収できたのはその半分という。これだけいい加減な経営をして、無罪という判決では誰しも納得するわけにはいかない。

 罪刑法定主義とは言うが、犯罪を起こしても有罪とできないような法律を許している国会や政府が追及されるべきである。詐欺事件や金融にかかわる犯罪に対して、日本の法律は他の国と比べてあまりも甘すぎる。米国では公的資金を投入となれば、必ず誰かが刑事責任を負うし、その刑罰も半端なものでは済まない。

 腐った債権の実態を隠蔽し、虚偽の情報を開示して被害を受けた投資家を欺いた罪は消すことはできない。この事件を有罪とすれば、次々と関連する犯罪者が明らかとされ、いずれは元日銀総裁や元大蔵大臣にも罪が及ぶことを恐れた国策裁判であることは明らかであろう。このまま放置すれば、日本の資本主義は世界の笑い物となり、ますます衰弱していくことを恐れている。
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