堀江門の犯罪

ライブドア事件
 ライブドア粉飾決算事件で、証券取引法違反の罪に問われたホリエモン堀江貴文氏)の控訴審判決で東京高裁は懲役2年6月とした1審の実刑判決を支持し、控訴を棄却した。ホリエモン側は控訴審で「故意はなかった」などとして無罪を主張したが、検察側は「社長の指示や了承なしには犯行は成り立たなかった」と指摘した。


 事件のポイントは報告書の虚偽記載と偽計風説の流布に社長の指示があったかどうかであるが、たとえ部下が勝手にしたとしても、トップの責任は免れることはできない。判決内容で「被告の規範意識は薄弱で、潔さに欠ける。反省もうかがわれない」と裁判官が非難しているが、これはやや感情的にすぎることと思う。裁判官に頭を下げれば、量刑に配慮するというのでは、近代国家の裁判とは言えない。

 同じ経済事件でも、最高裁が無罪判決を出した長銀経営者とは対照的である。税金を8兆円も投入した国家的事件に対して、有罪とすれば霞が関や永田町にも影響しかねないことを恐れた司法の判断と思われる。戦争で人を殺せば英雄となるが、個人が人を殺せば罪を問われることと似ている。

 粉飾決算事件では山一やカネボウなど大企業の粉飾額は数千億円に対して、ライブドアでは50億円程度であるが、一般投資家に損害を与えた悪質性を追求された。しかしながら、株式投資にはギャンブル性が伴うことは常識である。ホリエモンに投資した時には、投資金額が数倍になって戻ってくることを投資家は期待したはずである。

 また、ホリエモンを担いだ当時の首相や自民党の幹部は、一般投資家にライブドアは安全株という誤ったメッセージを与えたのであるから、彼らの罪悪も小さくはない。「金儲けは悪ですか」と叫んだ村上氏と同じく、司法は個人の経済犯罪には厳しいが、大企業の大きな犯罪には甘いという印象は避けられない。
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