トービン税

投機資金の抑制
 国際間の金融取引は年間300兆ドル(3京円)と言われている。年間の仕事日を300日とすれば、1日あたり1兆ドル(100兆円)という資金が地球上で動いている。その取引の90%以上が投機的な短期資金である。これが現在の原油、食糧価格高騰の原因とされている。


 この国際通貨取引に対して課税をする考えを提案したのがノーベル経済学賞を受賞しているトービン教授である。投機的な短期資金の移動を抑制する目的で提唱されたもので、すべての通貨取引に低率の税を課すことだ。

 短期的な投資収益を狙って頻繁に資金を移動させればさせるほど税率が高くなる。企業の行う通常の長期的投資には低率課税のままなので、実質的影響はほとんどなく、投機的な短期資金の移動だけが抑制されることになる。

 税率は低くても原資が巨額であるから、税収は莫大なものとなる。この収入を国際公共財として途上国の貧困対策、持続可能な開発のための資金、世界の環境対策などに使用すべきであるとの考えが提案されている。ちなみに、すべての国際金融取引に、0.05%課税しただけでも年間で500億ドル(5兆円)の税収となり、世界の政府開発援助(ODA)と同額となる。

この税制は理想的すぎるとか、技術的に難しいとか、効果は限定的とかの批判があるが、現在、ベルギー国会の下院でトービン税法が採択され、上院側の修正待ちという状態という。この税制が国際的に採択されることで、投機マネーの移動を抑制することが期待されている。
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