腐りきった防衛行政

フィクサーの逮捕劇
 舞台を回す裏方役はどのようなケースでも存在するし、欠かすことはできない。そしてその役目にはうまみといえる利権につながる金が付きまとう。防衛省のドンが逮捕された時に、国会にも登場していた裏方役が脱税で逮捕された。
 
 何しろ年間5兆円にもなる日本の防衛予算である。国防という機密の陰で、その実態は国民にはほとんど知らされてはいない。彼は日米平和・文化交流協会という組織の専務理事をしていた。この組織に群がった関係者は、名だたる有名企業と商社、誰でも知っている防衛族と言われている政治家たちである。

 田中角栄元首相の例を出すまでもなく、兵器の決定や導入には必ず政治判断が伴う。企業としては直接に政治家との接触を避けたいとの意識があるから、フィクサーの出番が出てくる。「日本の防衛産業なんて国におんぶに抱っこで、自分たちは何もしようとしない。開発費も国が負担している」とうそぶきながら、吸血鬼のようにそのうまみを吸い取っていた。

 防衛行政と予算は闇の世界で、事務次官の犯罪、商社の介在、パイプ役の逮捕など腐りきっているとしか思えない。この10年間だけでも、装備品の納入をめぐる汚職事件は摘発されたものだけでも5回も起きている。今回の事件は、防衛行政不正摘発の始まりで、不透明な資金の流れを究明して、政治家も絡む利権の実態を白日の下にさらすことを期待したい。国策捜査としては、おそらく脱税事件だけで蓋を閉めることを企図していると思うが。
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