北京2008年8月8日PM8時8分8秒

北京オリンピック
　数字の8は日本では、その字体「八」から末広がりを表しているので、縁起のいい数という。中国でも発展、発財、発揮、発進などで表わされるように、力強く成長していくシンボルとなっている。この日に婚姻の届けを出す人が登記所に殺到するようだし、さらに、計画的にこの日に出産することを狙っている人たちも多いという。

　第29回オリンピック北京大会はメーン会場の国家体育場（鳥の巣）で日本時間午後9時に開会式が始まる。アジアでの夏季五輪は1964年東京大会、1988年ソウル大会に続き20年ぶり3度目となる。大会には史上最多の205カ国・地域が参加する。

　7年越しで開催準備を進めてきた中国であるが、大気汚染、少数民族問題、食品衛生など多くの難問を抱えての18日間の競技の開幕となる。メーン会場の鳥の巣はスイスの設計であるが、多くの日本人も参加しているし、水泳競技場の設計は日本企業である。

　44年前の東京大会での日本の状況は、さまざま公害問題で悩まされていたし、東京の空も今の北京と同じようにスモッグで汚れていたが、開催時期が10月10日ということで、大陸からの秋の高気圧で真っ青な空を取り戻すことができた。そして、この大会を契機として、日本はその後、経済大国といわれる発展を遂げていった。

　北京大会には90カ国の首脳が開会式に参列する。世界中から集まるお客さんに、良いところを見せるために、これまで競技場の建設にかかわった労働者は北京から強制退去させられたとか、北京の昔からの古い町並みは壁で隠すとか、建設中のビルには覆いをかけるとかのニュースを見ていると、中国がメンツに拘る民族であることが如実に示されている。

　ありのままの姿を見せた方が、大会後の中国の発展にも好結果をもたらすと思うが、このように背伸びをすると、大会後の落ち込みが心配させられる。目には見えない組織、システム、思想にまで、おそらくかなり無理をしていることが想像される。暑いさなかにあまり熱くならずに、できるだけ自然体で五輪の競技を観戦してもらいたいと思っている。
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